研究者:Eさん
自己病名:統合失調症、寂しがり屋型、全力疾走、自爆寸前キープタイプ
研究テーマ:西大寺の「お客さん」について
<苦労の内容>
●ずっと以前から「西大寺のお客さん」で苦労している。(解説:「お客さん」とは当事者研究用語で「マイナスの考えやイメージのこと」です)近鉄奈良線にある西大寺駅に行くと、”駅周辺で働いている人達”から噂されているという「お客さん」が迫ってくる。内容は、「『Eさんハンサム』と噂されている」というのと「『精神に障害がある。生活保護を受けている』と噂されている」というもの。それで、駅周辺にあるお店や銀行に行きづらくて苦労する・・・とのこと。
<これまでの対処法>
●・・・ということで、これまでの対処法をEさんに語ってもらいました。Eさんによると「薬の調整」をしたり「西大寺駅周辺に行く用事を減らしたり」等々、いろいろ試行錯誤したらしい。それで、一番良かったのが、当事者研究で考えた「友達(メンバーさん)に事情を話して、一緒に行ってもらう」という方法。二人で行くと「お客さん」のプレッシャーが半分になり、三人で行くと3分の1に分散する。そして都合の良いことに、友達には「お客さん」の影響は出ない。でも、外出の度に友達にお願いできないので、最近ではヘルパーさんをお願いしている・・・とのことでした。
<「お客さん」の拡大>
●ところが・・・最近、駅前だけだった「お客さん」が西大寺小学校区全体に広がってしまった。それで困っているらしい。参加メンバーさんからEさんに「Eさんは病気を持ちながら、『カフェりべるて』(解説:リベルテの活動としてカフェを営業している)で働いて、自分の出来ることはやっている。そういう自分を認めて、受け入れれば「お客さん」は気にならないのでは?」という言葉が掛けられました。
●これに対して「昔の僕は、働くことに焦り、挑戦と失敗の繰り返しでした」「今は、生活保護を受けることは『現実を考えると仕方ないやん』という考えに変わってきた」「それなのに、どうして『生活保護を受けている』という噂は拡大してしまうのか?」とEさんはつぶやきました。
<どうしてか、分からない>
●Eさんのつぶやきを聞いて、みんな考え込み ました。「分からへんネ」・・・「奥が深いネ」。
●初期の頃から当事者研究を一緒にしてきたメンバーさんから、こんな言葉が語られました。「何故か分からへんし、どうしたら良いかも分からへん。でも、こうして『西大寺のお客さん』の話をみんなにすると、Eさんは気持ちが楽になるように思う。だから、時々、『お客さん』の話、みんなにしてください。」・・・・・・確かに、「それだけは分かる」。みんな納得して、この日の研究が終わりました。
●Eさん、参加者のみなさん、貴重な体験発表ありがとうございます。Eさんの「西大寺のお客さん」との付き合いは今後どうなって行くのでしょうか?研究は続きます。