研究者:H・Fさん
自己病名:統合失調症・コンプレックス・嫉妬心・けんか腰・サトラレ苦労タイプ
研究テーマ:「爆発」現象について
<苦労の内容>
●最近、「爆発」現象が連続して起きている。1週間で3回も爆発した。このままではヤバイ。人間関係が悪くなり、リベルテに居られなくなる。スタッフに相談したら「良いテーマやね。二人だけで話しするのはモッタイナイから、当事者研究で研究してみれば~」と勧められた・・・。(Fさんは50代の男性、りべるてのベテランメンバーです)
<爆発の状態>
ということで、どんな「爆発」なのか?その状態を語ってもらいました。爆発①、パソコンのネットで音楽を聞いていたメンバーさんに「うるさい、静かにしろ」と怒鳴った(Fさんによると、パソコンに怒鳴ったらしいが、音楽を聞いていたメンバーはビビっている)爆発②、テレビでアニメを見ていたメンバーさんに「やかましい、うるさい」と怒鳴った。(Fさんによると、テレビに怒鳴ったらしいが、アニメを見ていたメンバーさんはビビっている)爆発③、室内で携帯電話をしていたメンバーに「うるさい、外でやれ」と怒鳴った(Fさんによると、これは、そのメンバーさんに怒ったらしい)一週間に3回だから、2日に1回程度の爆発。普段のFさんは穏やかなので、「やっぱり変だ」ということになりました。
<爆発のパターン>
すると、Fさんが「爆発に至るパターンがある」と言い出しました。
①元々あるイライラ
②爆発のネタを探す
③爆発する
④一時的にスッキリする
⑤気まずくなる、周囲の評価が気になる
⑥元々あるイライラが増強される
・・・悪循環。
<元々あるイライラって何?>
当然、「元々あるイライラって何?」という話になります。 こういう展開が当事者研究の面白さですね。Fさんは「う~ん」 と考え込んで、こんな事を語りだしました。「ずっと一緒に過ご してきた友達(Tさん)に彼女ができた。友達に彼女が出来た ことは喜ばしいこと。文句を言うべきじゃない。でも、これま でのようにずっと一緒には居られない。寂しいし、時間をどう 過ごしていいか分からない」・・・つまりFさんは「Tさんロス状態」だ ったのです。それをハッキリと自覚できず「イライラ」だけを感じていた。(真面目なFさんは「友達の幸福を不満に思うべきではない」と、寂しさを心の中に抑え込んでいたようです)やっと「爆発」現象の全容が見えてきました。そして、爆発するFさんに「なるほど~」という共感が広がりました。
<・・・で、どうしよう?>
話の焦点は「・・・で、どうしよう?」というところに移ります。いろんなアイデアが出ました。「暴力さえ振るわなければ、爆発してもエエやん。今回の研究でみんなも事情が分かったわけだし・・・」という意見もありました。Fさんが選んだのは「今、僕はイライラしているから音が気になって仕方ない、静かにして」と相手に伝えるというシンプルな方法でした。これも「弱さの情報公開」の一つかもしれません。苦労を共有し、弱さの情報公開をする。当事者研究の基本中の基本です。そのことを再確認した研究でもありました。 こうして今回の「爆発」研究は終わりました。Fさん、貴重な体験発表ありがとうございました。「爆発」現象との付き合いは、今後どうなっていくのでしょうか?研究は続きます。